手書き図面をCAD化する方法を紹介!CAD化のメリットや注意点も
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手書き図面をCAD化する方法を紹介!CAD化のメリットや注意点も

現代の設計や製図業界では、CADの活用がますます重要視されています。手書き図面は、正確性やデータ管理の面で課題を抱えることも少なくありません。CADソフトウェアを活用して手書き図面をデジタル化すれば、効率化と精度の向上が期待できます。本記事では手書き図面をCAD化する方法や、CAD化のメリットや注意点について触れていきます。  

手書き図面のCAD化とは

手書き図面とは建築や工事などの分野において、構造物の設計や配置を手書きで描いた図です。図面は建築主や設計者や施工者が建築物についての共通認識を持つために重要なもので、CAD化すればさらに建築物への理解を深められます。 CAD(キャド)とは、「Computer Aided Design(コンピュータ設計支援)」の頭文字を取った言葉です。図面をコンピュータ上で作成し運用することや、そのためのツールを指します。手書き図面をCAD化することは製図の効率化や管理共有がしやすくなることに加えて、コスト削減や修正の手間がかからないなどのメリットがあります。

手書き図面をCAD化する必要性

手書き図面をCAD化するには、ある程度の手間と時間がかかります。しかしそれらのコストをかけてでも、手書き図面はCADでデジタルデータにするのがおすすめです。以下では、手書き図面をCAD化する必要性について解説します。

物理的なダメージからデータを保護する

手書き図面をCAD化すれば、物理的なダメージから図面データを保護できます。手書き図面は紙でできているため、雨、風、破れ、皮脂などによる劣化は避けられません。破損や紛失の可能性もあり、長期的な保存も難しいです。 一方、手書き図面をCAD化すれば、物理的なダメージから図面を守ることが可能です。データごとに名前をつけてファイルに保存しておけば、紛失することもありません。バックアップを取っておけば、さらに安心してデータを保存できます。

効率的な作業を実現させる

作業のさらなる効率化を図るためにも、手書き図面はCAD化する必要があります。アナログの手書き図面は修正が綺麗に行えない場合があり、作業工程が進むにつれて見にくくなる場合があります。また複数枚複製することも難しいため、作業に関わる人たち大人数と共有できず情報伝達がスムーズにできないおそれがあります。 対してCAD化した図面なら、修正や共有をすばやく行えます。修正箇所が発生しても簡単かつ綺麗な編集が可能です。複数人との共有もできるため、作業に関わる一人ひとりが図面を把握しやすくなります。さらにCADソフトは図面を要素ごとにレイヤー分けできるため、効率よく作業が進みます。

手書き図面をCAD化するメリット

図面はアナログによる手書きでもCADによるデジタルでも作成できますが、現在ではCADで作るのが主流です。それでは、手書き図面をCAD化することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では手書き図面をCAD化する3つのメリットを紹介します。

バックアップや共有が可能になる

手書き図面をCAD化する1つめのメリットは、図面のバックアップ保存や共有が簡単にできることです。手書き図面をCAD化してデジタルフォーマットで保存できるようにすれば、アナログより簡単に管理できます。さらにバックアップを取っておけば、万が一図面データをなくしてもすぐに復元可能です。 また手書き図面のCAD化はデータ管理の面だけでなく、データ共有においても便利です。クラウドなどネット上に保存しておけばあらゆるデバイスから閲覧でき、複数人とリアルタイムで図面を共有しながら作業を進められます。

設計の修正や変更が容易にできる

手書き図面をCAD化すると、図面の編集や修正がより簡単にできます。手書き図面は、文字取り紙に手書きで図面を描きます。そのため後から変更点が出た場合は色を変えて記入する、または空いているスペースに書き込みをして追記をします。追記は少しの量なら問題ありませんが、大きな変更をする場合や修正が重なる場合は図面が見づらくなってしまいます。 一方でCADを使ってデジタルで図面を作成すれば、見やすさを保ったまま図面編集が可能です。CADによるデジタル図面なら、1度描いた図面の配置を変更したり、変更したい図面を消して新たな図面を作成したりが簡単にできます。

正確性が高く、個人の表現力による影響がない

手書き図面をCAD化することで得られるメリットには、個人の筆跡などに左右されずにだれが見てもわかりやすい図面が作成できることも挙げられます。手書き図面は筆跡、筆圧、注釈の表現などに個人差が出やすく、わかりやすい図面があればわかりにくい図面もあります。 しかし、図面作成者がみな同じCADソフトを使って手書き図面をCAD化すれば、図面作成での個人的な特徴が反映されずに表現が一律に統一されます。デジタル図面なら文字や数字が読みにくいこともないため、一目で理解できる図面作成が可能です。

手書き図面をCAD化する方法

CADは建築や工事などの分野での図面作成において、欠かせないツールです。操作は簡単ですが、手書き図面をCAD化する際は一つずつ手順を踏んで行うのがおすすめです。ここでは手書き図面をもとに、CAD上でデジタル図面を作成する方法を解説します。

【1】図面のスキャン、画像の編集

手書き図面をCAD化するにはまず、アナログ画像をパソコンに取り込んでデジタルデータに変換します。スキャン装置に対して平行に折れ曲がりのないように手書き図面を置いて画像の取り込みを行い、pdfやjpegなど高画質かつ高解像度のデータとして保存します。 手書き図面を取り込んだ後はさらに見やすいように、編集を行います。Adobe PhotoshopやGIMPやInkscapeなどの画像編集ソフトを使用して、画像のコントラスト調整やノイズ除去をすると、手書き図面をより正確にCAD化できます。

【2】使用するCADソフトウェアを選択

手書き図面をスキャンしてパソコン上で使用できるようにしたら、どのソフトウェアでCAD化するかを決めます。手書き図面をCAD化する際によく使われる有名なソフトウェアとしては、AutoCAD、Jw-cad、SolidWorks、Fusion 360などがあります。 使用するCADソフトウェアを決めるときは、用途に合わせて2Dを使うか3Dを使うかを選びましょう。またソフトウェアごとに使用できるオプションも異なるため、複数のソフトを比較検討するのがおすすめです。建築のための図面を作る場合は、有料ソフトが使いやすいです。

【3】CADファイルを作成

手書き図面のスキャンと使用するCADソフトウェアの決定ができたら、いよいよ手書き図面のCAD化を行います。まずCADソフトウェアを起動して新しいCADファイルを作成したら、PCに取り込んでおいたスキャン画像をインポートします。 次にソフトウェアの図形描画ツールや表示される補助線などを利用して、図面の配置や線を正確にトレースしましょう。手書き図面をCAD化する際は、寸法や比率を元画像とピッタリ合わせることが重要です。

【4】レイヤー、属性設定

手書き図面と同じ図面をCADファイルで作成したら、さらに見やすくなるように要素ごとにレイヤーを作成していきましょう。CADにおけるレイヤーとは、ひとつの図面を複数の階層に分けて描く機能のことです。透明なフィルムを何枚も重ねて、ひとつの図面を完成させるようなものと考えると理解しやすいです。 たとえば、電気工事の図面なら配線やスイッチの位置、コンセントの位置など要素ごとに分けてレイヤーを作成して全体的な図面を作ります。レイヤー分けをして要素属性ごとに管理をすると、編集や修正しやすく作業の効率化が図れます。

【5】寸法、注釈の追加

図面の形を細部までCADで作成したら、具体的な寸法や気をつけるべき部分の注釈を入れていきます。寸法は、建築や製造を正しく行うために必要不可欠な情報です。間違いがないように、手書き図面をよく見ながら入力しましょう。 また注釈も、その後の工程をスムーズに進めるために必要です。ソフトウェアごとにあるツールを使えば、簡単かつ見やすく寸法や注釈の追加ができます。

【6】データの保存、エクスポート

CADで図面の編集が終わったら、最後にデータ保存をしましょう。「名前を付けて保存」などのタブをクリックして、図面をソフトウェア内に保存します。データが消えてしまうなどの万が一の場合に備えて、定期的なバックアップ設定も行っておくとより安全です。 保存したデータをクラウドに保存したい場合や、ファイル形式を変えてソフトウェアの外にエクスポートしたい場合も保存画面から操作できます。DWG、DXF、PDFなど好きな形式に変換して保存しましょう。

手書き図面をCAD化するときの注意点

手書き図面をCAD化するときに注意すべきポイントは、ファイル形式についてです。まず手書き図面を取り込んでも、そのままでは編集できない場合があります。その場合は、JPGなどの画像データを図面フォーマットであるDXFデータなどに変換してから編集します。 また、図面を作成して社外に共有したり実際に現場で使用したりするときも、ファイルを開くためのソフトの形式と噛み合わないと図面データを開けません。連絡のやり取りや作業工程をスムーズに進めるためにも、ファイル変換をする場合はCADに対応したフォーマットを選びましょう。

手書き図面のCAD化は業者へ依頼するのがおすすめ

大量の手書き図面をトレースしてCAD化するなら、業者に依頼するのがおすすめです。手書き図面のCAD化には対応している専門の業者があり、必要なぶんだけ外注ができます。業者へ依頼すれば社内の人材や時間を消費せず、図面CAD化専門のプロによる高品質な図面データが手に入れられます。手書き図面の修正のしにくさや保管スペースの圧迫にお悩みの方は、CAD化代行業者の利用をぜひ検討してみましょう。

まとめ

今回は手書き図面をCAD化する方法や、CAD化のメリットと注意点についてまとめました。手書き図面をCAD化するためには、図面をスキャンしてCADソフトウェアに取り込み、要素ごとにレイヤー分けしながら作成します。手書き図面のCAD化は手間がかかるため、初めての方は専門業者への依頼がおすすめです。