建築業界で使われる「建築CAD」とは?建築CADは図面との相性がある!
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建築業界で使われる「建築CAD」とは?建築CADは図面との相性がある!

「建築CAD」は設計の効率化や精度向上を図る上で重要な役割を果たしており、建築業界において必要不可欠なツールです。しかしその種類にはさまざまなものがあり、図面の種類やプロジェクトの規模によって使い分ける必要があります。本記事では建築業界で使われる代表的な建築CADの特徴や、それぞれの図面との相性について詳しく解説します。  

建築CADとは

「建築CAD」とは、コンピューターを用いて建築設計を行うためのソフトウェアおよび技術を指します。CAD(Computer-Aided Design:コンピュータ支援設計)はコンピューターを用いた設計支援ツールのことで、建築CADはその中でも建築設計に特化したシステムです。 建築CADを使うと従来は手作業で行っていた図面作成や設計作業を効率化でき、正確かつ迅速な建築物のデザイン作成が可能です。平面図や立面図や断面図などさまざまな種類の図面を簡単に作成できることはもちろん、建築物の3Dモデルを作成して立体的な確認を行ったり、配管や電気設備の配置をシミュレーションしたりもできます。 さらに、建築CADを用いた図面作成では設計の変更や修正も容易です。加えて、情報の管理や共有のためのツールも整っています。建築CADの利用はスムーズな業務進行や設計ミスの防止、効率的なコミュニケーションやコスト削減に役立ちます。

そもそも建築図面には、どのような種類があるの?

建築図面とは、建築物の設計や施工に必要な情報を図として表現したものです。建物の形状や構造、各部分の建材や寸法、設備の配置などを詳細に示します。建築図面は設計者の意図を正確に伝えるための手段であり、プロジェクトの進行において重要な役割を果たします。 建築図面は基本設計図、実施設計図、施工図の3種類があり、それぞれに異なる情報が記載されています。ここではそれぞれの建築図面の特徴や用途について解説し、どの場面でどの図面が求められるのかを整理していきます。

基本設計図

基本設計図は建物の構造や間取りなど、建築物の全体像を示すための図面です。建築プロジェクトの初期段階で作成される図面で、設計者と施主など関係者間で建物のデザインや機能や配置について合意を形成するために使われます。 建物を建築するときは建築基準法をはじめとした、さまざまな法律に対応していなければなりません。したがって、建築に際しての制限や建設物についての説明をわかりやすく行うには、まずは基本設計図を作成してクライアントの希望を形にします。 基本設計図は、建物全体のデザインコンセプトや規模感や配置計画を把握して伝達するためのもので、後に実施設計に進む際の基礎でもあります。この段階では法的要件や予算の範囲内での設計が行われ、内容に合意するとさらに詳細な図面作成に進みます。

実施設計図

実施設計図とは建築物の設計を具体的に示し、実際の施工に必要な詳しい情報を記載する図面です。基本設計図に基づき、さらに細部まで設計内容を詰めたもので、建物の構造や設備や配管など各要素の配置や寸法が正確に記されています。実施設計図はさらに細かく3種類に分けられ、意匠図と構造図と設備図が作られます。 意匠図とは、建築物の形や間取りやデザインを示すための図面です。建築物の外観や内部空間についての情報を、具体的に書き記すことを目的として作成されます。設計者が意図するデザインを関係者に正確に伝えるため、意匠図にはさまざまな種類があります。 建物の外部情報を記載したものは案内図や配置図、構造を示すものには平面図、断面図、立面図、屋根伏図などがあります。また、平面図などをより細かく描いた詳細図もあります。 他にも、面積を求める際に使われる求積図、建物の高さを詳しく表した矩計図(かなばかりず)、家具や設備がわかる展開図や天井伏図、建具の種類や形状をまとめた建具表、門扉や通路や駐車場など敷地内の構築物を表す外構図など、さまざまな種類の図面を用いて建物の意匠を表します。 実施設計図には構造図もあります。構造図は建物の安全性や耐久性を確保するために、建築物の骨組みとなる構造部分を詳細に示した図面です。具体的には、基礎や柱、梁、床、屋根などの構造要素の寸法、材質、配置、接合方法を明示します。 構造図には、伏図(ふせず)や軸組図(じくぐみず)などがあります。伏図は、建物の基礎となる構造を上から見下ろしたような図面です。基礎部分を示す基礎図面、柱や梁や壁を示す床伏図、建物の屋根の構造を示す小屋伏図などが作成されます。 軸組図は伏図のように上から見るのとは対称的に、建物を横から垂直に見たときの図面です。柱や壁の中心を通る線である「通り芯」に沿って建物を切断したときの断面図ともいえ、柱の寸法など構造材を立体的に示します。 実施設計図の設備図とは、建物内の各種設備である電気、給排水、空調、ガスなどの配管、配線、配置の詳細を示す図面です。設備図は建築物の機能性を確保するために重要であり、各設備が効率よく配置されるように建物全体を見ながら調整されます。 電気設備についての図面は、電気設備図や配線図と呼ばれます。配電盤の位置や各部屋への配線経路、エアコンなどの電気設備の配置やコンセントの位置などが平面図に記載されます。空調換気設備図にはエアコンの室内外機の配置、換気扇の配管経路や換気能力、ダクト経路などを記載します。 建物内の給排水設備の配置や配管経路を示す図面は、給排水衛生設備図といいます。給水管経路や給水箇所、水道やトイレなどの衛生設備の位置、排水管の経路やトラップの場所などが詳細に記されています。ガス設備図も同じように、ガス管の配管経路や配管の大きさや接続方法などが描かれています。

施工図

施工図は実施設計図をもとに作られる、実際の施工現場で使用される詳細な図面のことを指します。基本設計図は建物の基本的構造を、実施設計図は間取りや設備を示すものです。施工図はこれらをさらに具体的に描いたもので、建築材や設備材料の寸法や仕様や取り付け方法など、施工に必要な情報が記載されています。 施工図の種類には、平面詳細図や躯体図などがあります。平面詳細図は、建物の各フロアを拡大して詳細に表した図面です。内装や各部屋の設備、家具の配置場所やフローリングの方向などが描かれています。 躯体図は、建築物の骨組みを作る躯体工事を行うための図面です。柱、梁、床、壁などの配置や寸法、材質や強度が記され、建物の安全性や耐久性についての情報を示します。躯体図は、施工者が正確に躯体を組み立てるための指針としても使われます。

建築CADの主な種類

建築CADにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や得意分野が異なります。設計する建物の規模や用途などに応じて、最適なCADソフトを選ぶことが求められます。

Auto CAD

AutoCADは、アメリカで開発された汎用的なCADソフトウェアです。汎用CAD市場で7割のシェアを誇り、世界でもっとも多く使われています。日本でも多くの業界で標準的なツールとして認知されています。建築分野では「AutoCAD Architecture(オートキャド アーキテクチャ)」が有名で、正確かつ高精度な2Dおよび3D図面の作成が可能です。

ArchiCAD

ArchiCAD(アーキキャド)は、世界初のBIMソフトウェアです。BIM(ビム)とは「Building Information Modeling」の略です。コンピューター上に建物の3Dモデルを作成すると、図面や画像が自動的に作られる機能が搭載されています。設計から施工までの情報を一元管理できるため、建築フローの効率化が可能です。

Jw_cad

Jw_cadは、日本で開発された2D建築CADソフトウェアです。開発に建築士が参加しているため扱いやすく、国内シェアが高いです。無料でダウンロードできるだけでなくソフト内の機能もすべてフリーで使えるため、小規模な事務所や個人ユーザーにも人気があります。操作が簡単で動作も素早いため、初心者におすすめです。

Vnas

V-nas(ヴィーナス)もJw_cadと同じように、国内で開発販売されている建築や土木用2次元汎用CADソフトです。直感的に使用できる点が強みで、設計や作図や計算などがしやすいです。同じ販売会社のCADチェッカーと連携させれば、複数の図面の基準適合チェックを素早く行えます。

建築図面は種類によって、CADとの相性がある

建築図面は種類ごとに異なる役割や情報を持っており、それに応じて使用するCADソフトとの相性も変わってきます。たとえば、平面図などの2D図面には、Jw_cadのような2D設計に強いソフトが適しています。 一方で建物の立体的な構造や設備の配置を詳細に確認するには、3D立面図を作成できる AutoCAD Architectureや、建築モデリングが可能なBIM対応のArchiCADの使用が効果的です。 図面の目的や内容に応じて適切なCADソフトを選ぶことで、作業効率や設計の精度が大幅に向上します。もし図面の種類とCADとの相性を考えるのが難しい場合や自社で行う際は、コストが足りないときは建築図面の作成を外注もできます。

建築図面のCAD変換は外注がおすすめ

建築図面のCAD変換を外注することは、業務効率の向上に役立ちます。建築業務ではさまざまな業者が協力しながら作業をするため、図面をもとにした情報共有が多く行われます。しかし業者ごとに使用しているCADソフトがそれぞれ異なり、ファイルの互換性がない場合は1枚ずつ図面のCAD変換をする必要があります。 そこでおすすめなのが、「Sougou設計工房合同会社」への外注です。同社ならどのような図面でもCAD変換が可能です。AutoCADのDWG、Jw_cadのJWW、V-nasのBFOなど、異なるソフトのデータ形式でも正確かつ迅速に変換作業を行い、時間を節約しながら高品質なデータを得られます。

まとめ

本記事では、建築CADの概要や各図面との相性について解説しました。建築CADは、設計業務の効率化と精度向上に欠かせないツールです。CADソフトには多くの種類があり、それぞれの特性によって図面との相性が異なります。 自社での対応が難しい場合は、「Sougou設計工房合同会社」への依頼がおすすめです。各ソフトの特徴を理解し、互換性のあるデータを提供します。